譲受法人には譲渡損益調整資産について繰延べられた譲渡損益を計上することになるような事由が生じた場合、その旨およびその生じた日をその譲渡損益調整資産の譲渡法人に通知をする義務があります。これについては、その事由が生じた事業年度終了後遅滞なく通知されなければなりません(法令122の14(18))。
譲渡損益調整資産の譲渡にかかる課税繰延の制度は、納税義務の異なる法人間において取引がおこなわれた後に繰延べられた譲渡損益の計上事由が発生したという情報が出されることによって初めて成り立つ制度です。よってこの情報が出されることを確保するために通知義務が設けられています。
また、譲渡損益の計上事由が発生した場合だけでなく、グループ法人間で譲渡損益調整資産が譲渡された時点でも、譲渡法人・譲受法人の両方に一定の内容を通知しなければなりません(法令122の14(16)(17))。
譲渡法人については譲渡後遅滞なく下記の事項を譲受法人に通知することが義務付けられています。
・譲渡した資産が「譲渡損益調整資産」に該当する旨
・減価償却による譲渡損益調整額の損益計上のときに簡便法を採用する場合にはその旨
ただし、売買目的有価証券および譲渡直前の帳簿価額が1000万円に満たない資産は譲渡損益調整資産から除外されるため通知する必要はないです。また、譲受法人については、譲受法人からの通知を受けたのちに遅滞なく以下の事項を譲受法人に通知しなくてはなりません。
・譲受損益調整資産が譲受法人において売買目的有価証券にあてはまる場合にその旨
・譲渡損益調整資産について簡便法の適用を受ける旨の通知を受けたとき、譲受法人において減価償却資産または税法上の繰延資産にあてはまる場合は、その資産に適用する耐用年数またはその資産の支出効果のおよぶ期間
なお、譲渡法人が適格合併によって解散したときは合併法人に対して通知します。通知は譲渡法人と譲受法人の間で任意の方法でおこなって問題はないです。