後継者を育てる方法を教えてください

後継者を決定した場合、その後継者の教育を行う必要があります。その中で経営者としての能力を鍛えるとともに自覚を築き上げさせる必要があります。後継者の教育に必要なポイントは以下の通りです。

(1)後継者を社内で育てるか、あるいは、社外で育てるか

1.社内で育てる
身内を社内で育てて後継者にするというのは非常に難しいというのが一般的な考え方です。なぜなら、自分の親族だからという理由で厳しく当たってしまったり、反対に甘やかし過ぎてしまったりするからです。
また、従業員の方でも将来社長になることが決定しているような社員に対して、厳しく教育するというのは非常に難しいでしょう。つまり、社内で後継者を育てるということは基本的に会社の混乱を招いてしまうため、避けるべきと言えるでしょう。
ただし、社外では習得できないような知識やノウハウというものもあります。その会社ならではのルールなどです。これらは、社長と共に業務を行うことでマネジメント能力を身に付けられる部分でもあります。

2.社外で育てる

社外で後継者を育成する場合、自社と同程度の規模を誇る会社で、なおかつ、厳しく指導をしてくれる会社だと良いでしょう。大企業に入社しても、後継者として社長に就任する会社が中小企業だとすれば、個人に求められる能力や役割が全く異なってくるためです。もちろん、後継者にとってみても同規模の会社で働くことで見えてくる部分は多いです。
ただし、取引先や関連会社などに就職するというのは気をつけましょう。後継者となるべき人材が育たなくなることも多いのです。

3.社長の背中を見せる
社長業は楽しい面もあれば辛い面もあります。もちろん、社長ならではのやりがいも感じられる仕事です。後継者となるであろう人材に対して、小さいうちから教育しておくことも非常に重要です。

(2)後継者に必要な資質
1.カリスマ性
経営者として明確な経営理念を持つとともに、言葉で伝えられる能力を持っていることが大切です。

2.マネジメント能力
従業員のマネジメントができなければ、社長になることはできません。社長の仕事は自分自身が動くことではありません。どうやったら周囲が効率よく動けるかを考えることが仕事です。もちろん、自分が楽をすることではないのです。

3.リスクマネジメント
経営者は危機を察知する能力が無ければ務まりません。何かが起きる前に対策を打つ能力、危険が起きてから迅速かつ適切な対応をする能力が求められます。

4.交渉力
外部に対する営業交渉はもちろん、社長は社内での交渉も必要です。様々な場面で交渉をできるコミュニケーションスキルとともに、人間関係を円滑に行う能力が欠かせません。

(3)オーナーに求められること
1.後継者は早めに選定した方が良い
経営者に求められるスキルはビジネススキルだけではありません。つまり、仕入れや製造、販売などの面ばかりでなく、社内のことも理解を求められます。人事労務や税務会計など社員や帳簿を管理することも、社長が持っていなければならないスキルに含まれます。
会社組織がどのように動いているか把握する為に、後継者には様々な部署を経験させる必要があります。だからこそ、会社の後継者教育が重要なのです。
後継者決定を怠ったり先延ばしにしたりした場合、後継者争いで派閥ができてしまうことがあります。こうなると、会社組織はもはやおしまいと言っても良いでしょう。会社の業績が停滞、降下してしまうのです。

2.後継者にはメンター(教育係)をつける
後継者を育成する上でメンターの存在は欠かせません。仕事に対する考え方、経営者としての視点を身につけさせることが重要ですから、後継者を教育する立場の人材を誰にするかが課題となります。
基本的に、後継者のメンターは幹部社員にすべきです。早い時期に良好な人間関係を形成することで、その後の事業がスムーズに進むからです。

(4)後継者にできること
1.人間力を磨く
後継者は高学歴な人材が多いことでしょう。現在のオーナーとしては、やはり、自分の後釜として事業を継続、さらに拡大させることを望んでいるためです。したがって、多くの後継者は学歴に比例して一般教養が身についていると思いますが、経営には教養だけではなく人間力が必要です。
人間力とは非常に多岐にわたります。思いやりや行動力、誠実な態度、忍耐力と言った性格的な要素から、統率力や決断力、創造力、さらには礼儀作法など、業務に直接的あるいは間接的に関係してくるスキルなども含まれます。
基本的に、数値化できないものが人間力です。しかし、多くの人はこういった要素にこそ魅力を感じます。つまり、人間力とはその人の魅力のことだと言っても良いでしょう。

2.初代オーナーや従業員の苦労を知る
会社というものは長年経営していると、「あることが当たり前」というような認識になってしまいます。しかし、初代オーナーが事業を始めた時、オーナーや開業当初の従業員は非常に苦労していたであろうことは容易に想像できます。したがって、彼らに対して尊敬する気持ちを持つことは大切なのです。

3.経営者は孤独、同じ立場の仲間が居ることを知る
初代のオーナーはもちろんのことですが、二代目の経営者という立場も難しいものです。同様の立場に立っている経営者の仲間を作り、お互いに社長の心得を学べる環境を作りましょう。問題が解決できない場合でも、同じ悩みを抱えている仲間が居ることを知ると、孤独感を和らげてくれるでしょう。例えば、外部セミナーがあれば積極的に参加することで経営者の仲間に出会えるはずです。