(1) 同族間での相続、贈与に適用される評価方法
会社を支配する同族株主が相続あるいは贈与によって取得する株式に関しては、原則的評価方式が適用されることになります。この時、以下の方式によって評価します。
純資産価額方式:会社の資産の額から負債の額を控除した純資産価額を自社株の価値として評価する方法です。
類似業種比準価額方式:理事事業を営む上場会社の株価をベースに、配当・利益・純資産の3要素を比べることで自社株を評価する方法です。
これが原則的評価方式です。片方、もしくは、この両方を合わせた折衷方式によって評価することになります。
(2)少数株主に適用される評価方式
少数株主もしくは同族ではない株主は、基本的に配当目的で株式を保有しています。つまり、支配権を行使することが目的ではないため、例外的評価方式の「配当還元方式」を用いて株価を評価します。
配当還元方式:配当金額を一定利率(10%)で還元した価額を自社株の価値とする方法
(3)具体例
<原則的評価方式>
純資産価額 1株10,000円
類似業種比準価額 1株3,000円
<例外的評価方式>
配当還元価額 1株500円
この場合、贈与や売買時の株価がどのようになるのでしょうか。
1.社長から後継者(子ども)へ贈与する場合
社長が後継者(子ども)に自社株を贈与する時、同族に対しての贈与となります。したがって、原則的評価方式である「純資産価額方式」である1株10,000円、「類似業種比準価額方式」による1株3,000円を用いて計算します。
2.会長である兄の持っている株式を社長である弟が買い取る場合
個の場合も同族間取引です。したがって、原則的評価方式が適用されます。
3.社長の株式を従業員持株会へ
社長が持っていた株式を従業員、もしくは、従業員持株会に売却する場合、例外的評価方式の「配当還元方式」を適用し、1株500円として評価します。
一方、従業員の持っている株式を社長が買い取る時は、原則的評価方式を用いて評価した金額となります。