(1)原則的評価方式を用いた評価の流れ
原則的評価方式における評価方法は下記の流れによって行われます。
1.会社規模を判定
2.特定会社の判定
3.特定会社に該当しない場合は「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」あるいは、両方の折衷案を採用します。特定会社に該当する場合は純資産価額方式を用いることになります。
・会社規模の判定
会社規模を判定する時、「従業員数」「総資産価額(帳簿価額)」「売上高」に基づいて氷解します。この判定基準より大会社、中会社、小会社に分類します。
会社規模を判定する時、従業員が100人以上であれば大会社として分類されます。100人以下の場合、従業員数や総資産価額に基づいて判定します。このどちらかの小さい方と、売上高に基づいて判定、その中で大きい方の会社規模を評価します。
例えば、業種が小売業のA社を例に挙げてみましょう。従業員数49人、総資産額9億円、売上高が15億円の場合、従業員の数は100人未満ですから、総資産価額や従業員数による判定を行います。小売業の場合、総資産額は7億円以上10億円未満です。従業員数は30人超50人以下に該当します。
総資産価額では中会社の大の会社規模に区分されますが、従業員が中会社の中の会社規模です。したがって、一旦こちらの会社規模を採用します。
次に、売上高をみると、12億円以上20億円未満の会社規模に当たります。これは中会社の大の会社規模に該当します。つまり、A社の区分は中会社の大の会社規模となります。
・特定会社の判定
特定会社とは、比準要素数1の会社、株式保有特定会社・土地保有特定会社、開業から3年未満の会社や直前期末を元にして、これらの要素が全くない会社、あるいは開業前、休業中、精算中の会社を指します。
特定会社に該当する場合、会社規模とは関係なく、純資産価額方式によって評価します。
・株式の評価方法を決定
特定会社ではない場合、会社規模に基づいて評価方式を決定します。大会社の場合は類似業種比準価額で評価、中会社、小会社では、類似業種比準価額、純資産価額の折衷方式によって評価することになります。会社規模に応じて、どのように折衷するのかという割合は異なります。なお、評価額を純資産価額と比較して、低い方の価額に基づいて評価しても良いのです。